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■ 労働者派遣法改正:均衡処遇の実現が大前提!
5月12日、労働者派遣法改正案の審議が衆議院で始まりました。過去に野党側の抵抗で2回にわたって廃案になった法案ですが、政府与党側は「このままでは今年の10月1日に派遣労働者の大量失業が起こる」として、3回目の出し直しをしてきました。
そもそも派遣という制度は戦後長い間禁止されていた訳ですが、それは手配師による人身売買や、労働ボスによる賃金ピンハネ等、悲惨な歴史があったからです。その後30年前の中曽根内閣の時に、国際的な流れに乗って解禁されましたが、それからも基本的には「限られた業種(通訳や秘書等の26業種)」または「限られた期間(最長3年)」という条件の下で、認められてきました。「経験を積んでも賃金が上がらない、社会保険にも入れない、ボーナスも保障されない、これでは若い人は結婚もできない、社会的に大変問題のある制度だ」そういう大きな認識があったからだと思います。
その厳しい派遣制度を大きく規制緩和するのが、今回の改正案です。企業が労働組合から意見を聞き、働く人を3年ごとに入れ替える手続きを踏めば、「すべての業務」で「永続的」に派遣労働者を配置できることになります。審議にあたって一番大事なことは派遣労働者の立場に立つことだと思います。派遣労働者の約半数の方は、派遣制度自体は肯定しています。ハローワークに行かなくても会社が仕事を見つけてくれる便利さがあるからです。その彼らが3年たったら失業してしまう危険性は減らさねばなりません。
ヨーロッパ(EU)では派遣における「業務や期間の制限」を撤廃しました。しかし肝心なことは、その前提として「均等待遇」を義務付けていることです。つまり同一労働・同一賃金。安い賃金で派遣労働者を使うことは出来ないので、派遣会社の手数料を考えれば、かえって高くつくことになりますが、それでも必要な時に、必要な間だけ利用できるメリットがあるから使うわけです。この均等待遇、日本流に言えば「均衡処遇」をどう実現するか、それが大きな課題です。それを進めないままでの規制緩和では、派遣労働者をさらに冷遇することになってしまいます。
(5月31日 記)
2015.06.09 Tue l 吉田泉だより l top ▲