20130115_ph.jpg

■ 安保法制:自衛隊の法的地位の再確認を!
9月19日未明、「安保関連法案」が参議院で成立しました。
これまで40年余りにわたって「集団的自衛権は持っているが使えない」という憲法解釈をしてきた我が国ですが、今回の改正により「限定的には使える」ように変更された訳です。
変更の理由は、中国の強引な海洋進出や北朝鮮のミサイルの脅威という近隣の大きな環境変化と、もう一つは「アメリカはもはや世界の警察官ではない」という2年前のオバマ大統領の発言にあるように、アメリカの力に相対的な変化が起きていることだと思います。
さて法案成立後の新聞のアンケートによると、7割の方が「安保法制の整備は必要だ」としながらも、6割の方が「今回のやり方は評価できない」としています。つまり必要ではあるが、やり方が良くないという訳です。それは40年も維持してきた解釈を国会内の多数決だけで変えて良いのか、国民の声をもっと丁寧に聴くべし、ということでしょう。
10本の改正案をひとまとめにして出してきた強引なやり方も批判されています。今回の関連法案全体は、①PKOでの「駆けつけ警護」など現行法制の穴を埋める分野、②国連の集団安全保障の分野、③集団的自衛権の分野の三つに分けられますが、これらを分けて審議すれば、国民の理解も得やすかったでしょう。そして最後の③は解釈変更ではなく、憲法改正を発議して国民投票を経てやるのがやはり法治国家として又安全保障政策としての筋だったと思います。
今後自衛隊の海外での任務は増えることになりますが、その時に懸念されるのが、自衛隊の法的位置づけの曖昧さです。22万人の隊員と350機の戦闘機等の装備を有している自衛隊は、国際法上は軍隊です。しかし憲法9条2項に「陸海空軍その他の戦力は保持しない」との条文があるので、国内では「戦力=軍隊」ではないとされています。軍事裁判所もありません。そういう曖昧な法的地位のまま海外に送り出し、万が一の時に支障がないのか、大変気懸かりなところです。
(9月30日 記)
2015.10.08 Thu l 吉田泉だより l top ▲